親が子どもに野球を教えるときに悩まないためのたった1つのポイント

・子どもに野球を教えたいけどどうしたらいいか分からない
・教えたとおりに子どもが動けなくてイライラしてしまう
・もっと早く上達させてあげたい!

こんなお悩みをお持ちの方に向けて、元小学校教諭×野球教室コーチの私が野球の教え方をお伝えします。

結論:『正しい動き』を教える必要なし。

子どもは遊びの中で自然と自分に合った動きを獲得していきます。

元中日の井端弘和氏の動画も参考にしながら、詳しく説明していきます。

子どもに野球を教えるときに、『正しい動き』を教える必要がない理由

多くの親がやってしまいがちなことですが、子どもに野球の正しい投げ方や正しい打ち方といった『正しい動き』を教えようと頑張りすぎていませんか?

実は『正しい動き』を親が教える必要はないのです。

理由1:大人と子どもの『正しい動き』は違うから

一般的に考えられている『正しい動き』はプロ野球選手などの上手な大人を見本にしています。必ずしも子どもにとって『正しい動き』ではないのです。

例えば一般的に右手で投げるときは左足を前に踏み出しますが、子どもの発達の段階によっては右足を踏み出して投げる段階もあります。

発達の段階によって『正しい動き』は違うのです。

<参考>

(公益財団法人日本スポーツ協会 動作の発達段階の特徴)

引用:https://www.japan-sports.or.jp/portals/0/acp/shidousya_behavior.html

子どもと大人では体のサイズもバランスも筋力も違います。

親が考える『正しい動き』をマネさせようとしても、子どもにとっては不自然で無理な動きであることが往々にしてあります。

親が教えようとしている『正しい動き』が実は子どもにとっては『正しい動き』でない場合があるのです。

理由2:子ども自身の体が『正しい動き』を知っているから

私が教えている野球教室に、まだグラブさばきが上手ではなく、お腹の前でしか捕球できない2年生の子がいます。少し高めにボールが来ると、左足を下げて半身になり、お腹の前で捕球します。

大人から見ると、「グラブをもっと上手に動かしたら下がらなくても捕球できるよ」と教えたくなりますが、実はこの動き、元中日の井端弘和氏のような守備の名手が推奨する捕球法なのです。

井端氏「おへその前が正面(体の向きで色んな場所を正面にできる)」(05:13あたりから解説しています)

2年生の子は教えられて『正しい動き』を身につけたわけではなく、お腹の前でしか捕球できないから自然と体がそう動くようになったのです。

人間の体はよくできていて、どうしたら今の体の状態で効率的・効果的に動けるかということを体が本能的に知っているのです。『正しい動き』を教えなくても自然と体に合った動きが引き出されてくるのです。

親が子どもに野球を教える場合、『正しい動き』に囚われる必要はありません。

「きっと子どもは自分で自分に合った動きができるはず!」と信じて一緒に楽しく遊ぶ機会をつくることで、十分に子どもの発達を伸ばすことができます。

『正しい動き』を教えなきゃ!という呪縛から開放されると、悩む必要がなくなってきます。

親が教えていきたいのは上達する楽しさ

では親は子どもに何をしてあげたら良いのでしょうか?

それは、

子どもの成長を一緒に喜び、上達する楽しさを教えること

です。

「昨日より遠くに投げられたね。」
「1ヶ月前よりかっこいい投げ方になったね。」
「1年前より球が速くなったから、ボールを捕る手が痛いよ。」

以前と比べて上達したところを見つけ、一緒に喜んでください。

親が喜んでくれると子どもは喜びますし、もっと上手になりたいという意欲が湧いてきます。

その意欲が更なる上達へとつながっていきます。

親は子どもの成長を誰よりも長く一緒に喜び合える一番のファンでありサポーターです。

どんなに優秀なコーチでも親より長くサポートし続けることはできません。

子どもの上達のために技術的なことを教えてあげたい気持ちは十分に分かりますが、まずは子どもの様子を見守り、記憶や記録に残していきましょう。

写真や動画を撮るのもいいですね。

そして、気づいたことや感じたことを素直に伝えてあげましょう。

それが子どもの野球上達への一番の近道です。

まとめ:親が子どもに野球を教えるときに悩まないためのたった1つのポイント

『正しい動き』を教える必要はありません。

一緒に遊びながら子どもの成長を信じましょう。

長い目で見て子どもと成長の喜びを分かち合える親は、どんな優秀なコーチにも負けない最高のパートナーです。

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親が子どもに野球を教えるときに悩まないためのたった1つのポイント” に対して6件のコメントがあります。

  1. 大井輝衞 より:

    3年生の甥っ子が1年生より少年野球チームに入ってます。セカンドやショートをやっています。コーチから守備の指摘(ランナーがいた時のベースに入り方)や自分がランナーで出塁した際にリードなどについても第二リードなどについて指摘を受けています。何度言っても覚えることが出来ないので困っています。どうしたら理解してくれるのか悩んでいます。
    どうか良い理解の方法についてアドバイスをお願いします。

    1. hokusetsu-BA より:

      コメントいただきありがとうございます。
      甥っ子さんが守備や走塁の動きが覚えられなくてお困りなのですね。

      3年生でショートやセカンドをやるということは、捕球や送球が上手で、器用な選手なのだと思います。
      「他のプレーは上手なのに、何で決まった動きが理解できないのか!」
      という想いが悩みを深くしているのかも知れませんね。

      コメントの文面からしか分かりませんが、まず、子どもに求めているプレーの水準が小学3年生にしては少し高いのかなと感じます。

      守備でベースへの入り方(ゲッツーや牽制の場面ですかね?)や第二リードなど、レベルが上がると確かに差が出てくる大切なプレーです。
      ですが、果たして3年生で必ずできなくてはならないプレーでしょうか?

      コーチに指摘されたら「できるようにならなくちゃ」と焦りを感じるかも知れません。
      なかには3年生でも理解する子もいるかも知れませんが、何度言ってもできないのであれば、恐らく甥っ子さんにとって「今は」そのプレーを習得する時期ではないのだと思います。

      まずは落ち着いて、
      「今すぐにできなくても大丈夫」
      ということを受け入れてみてください。
      そうすると、心が軽くなり、悩みも軽くなります。

      その上で、プレーを理解するためのヒントもお伝えしておきます。
      それは、プレーが「必要に迫られる」場面に直面することです。

      例えば、試合で何度も何度も三盗を決められて負けてしまったとします。
      そのことを(コーチに怒られるからではなく)甥っ子さん自身がくやしがり、
      「もっと盗塁を防ぎたい!」
      「どうしたら盗塁されなくなるんだろう?」
      ということを考え始めたら、牽制を学び始めるチャンスです!

      子どもは具体的な場面で必要に迫られた時に必要なことを学びます。

      「どうして?」と疑問を感じ、
      「こうしてみたら?」と検証して、
      「わかった!!」と納得して理解するのです。

      大人は子どもを思うあまり、つい、「とってもいいプレー」を教えたくなってしまうのですが、
      一度、子どもの視点に立って、今、子どもが「困っていること」は何かな?
      ということに目を向けてみてください。
      そうすると、子どもが今、学ぶべきことが見えてきます。

      子どもができることを1つずつ増やしていくのを見守るのは大きな喜びです。
      甥っ子さんが野球好きでうまくなりたい気持ちをもっていれば、高度なプレーにチャレンジしたくなる日が必ず来ます。
      今は焦らずに1つずつステップアップしていくのを一緒に楽しんでいただけたらと思います。

  2. 岡上なお より:

    小学3年生(8歳)ですが、主人が毎日野球の練習を主にして、宿題は夜やる為寝るのが10時過ぎてしまいます。朝は疲れて動けないくらいです。土日は野球部の練習もあります。低学年でそこまでやる必要はあるのでしょうか。体を壊さないか心配です。

    1. hokusetsu-BA より:

      コメントいただきありがとうございます。NPO法人北摂ベースボールアカデミーの植松です。
      ご主人が熱心に練習をされていて、お子様は朝、疲れて動けないくらい疲労が見られていて、お母様はこのままでは体を壊さないか心配されているのですね。

      まず、結論から申し上げると、小学生が疲労が抜けないほど練習する必要はありません。
      スポーツトレーニングの一般論として、パフォーマンスを向上するにはトレーニング・栄養・休養のバランスを保つことが重要で、休養しても回復が追いつかないほどのトレーニングはオーバートレーニングである場合が多いです。
      また、小学生の低学年はこれからどんどんと体が成長していく発達段階にあり、この時期にトレーニングをしすぎるとオーバーユースによるスポーツ傷害や休養不足によって体の発達が阻害されてしまう可能性が考えられます。
      基本的には楽しんでできるくらいの練習量がいいでしょう。

      ただ、ご相談の件ではご主人が熱心に練習されているようですので、「一般論ではやり過ぎだからもう少し練習量を減らしたら?」とご主人に伝えてもおそらく変わらないと思います。
      ご主人にはご主人の考えや想いがあり、その想いに向かっているので練習を続けています。
      ご主人がなぜそこまで熱心に練習をし、何を目指しているのかを理解することが不可欠です。

      チーム内で試合で活躍することが目標なのでしょうか?
      強豪中学や高校に進学して甲子園出場が目標なのでしょうか?
      プロ野球選手が目標なのでしょうか?

      野球のプレーヤーとしてのピークは20代後半から30代前半に来ます。
      お子様にはぜひその期間を存分に楽しんでいただきたいのですが、実際にその期間まで野球をしている人は多くはありません。
      途中でケガをしてやめてしまったり、「野球はもういいや」と燃え尽きてしまったりする人が多くいます。

      ご主人とお母様の共通の願いはお子様の健やかな成長だと思います。
      同じ願いを持つ同志として、お互いにどんな想いを持っているのか話し合われてください。
      ご主人の願いを聞き、その想いに共感した上で、練習のやり過ぎによってお子様の体や心が壊れてしまうリスクについてどのように考えているのか聞いてください。
      お母様がお子様の体を心配する気持ちを伝えてください。
      長い目でみたときに、今やるべきこと、今はやるべきでないことを整理して、ご主人もお子様もお母様も納得して生活できるよう、がんばってください。

      野球というスポーツが生活の中にあることで、お子様もご主人もお母様も皆さんがより幸せに生活できるようになることを願っています。

  3. くらまえ みらん より:

    小3.8歳の息子のチーム選びに とても悩んでいます。

    息子が入りたいチームは、地元の小学校でやっていて、
    人数が10人、他チー厶と合同で試合をして、昔ながらの練習法で、
    コーチからはミスすると、「なーにやってんだー!」と声が出ます。
    でも、クラスの1番中のいい子がいます。

    もう一つのチームは、3年生だけで8名、コーチもたくさんいて、やる気があり、常に新しい指導を考えていて、
    活気があり、失敗したときも励まし合うようなチームです。
    クラスの仲いい友達が入っています。
    私も主人もこちらのチームに入ってほしいと思っています。

    平日週1は小3春から野球教室に入っています。野球は幼稚園から遊びでずっとやっていて、なかなかの腕前です。本人はプロ野球選手になりたいといっています。
    親としては、生き生きと楽しく野球を
    、そして失敗しても励まし合うようなことを学んでほしいです。
    どちらも体験に行って、楽しかったとのことなのですが、息子が入りたいのは、地元のチームだそうです。
    話し合っても、息子の気持ちは変わらないようです。

    もう何ヶ月も平行線で、本人は早くチームに入りたい状況が続いています…。
    やはり、本人の入りたいチームに
    入るべきでしょうか…?

    1. hokusetsu-BA より:

      コメントいただきありがとうございます。
      息子さんの入るチームでお悩みなのですね。
      とても詳しく状況を説明していただけているので、私なりの結論をお伝えします。
      まずは息子さんが入りたいチームに入ることをおすすめします。

      ご両親が入ってほしいと思われているチームのほうが私も魅力的だと思います。
      大人の立場から見るとチームの良い所と悪い所が客観的に見え、将来どのような成功や失敗がありそうかが想像できます。
      親として子どもにより良い環境をと願うのは当然のことです。

      子どもは今現在のことでしか判断ができないので、時として間違った判断をします。
      親からのアドバイスを受けて進路変更するのであればそれでいいですが、ご相談の文面を見る限り、息子さんは地元の小学校のチームに入りたい意志がかなり強いようです。
      息子さんなりの理由があって選んでいるはずですので、その選択を尊重し、結果がどうなるかまで経験させることが息子さんの成長に繋がると思います。
      たとえ親から見て失敗する可能性が高い選択でも。

      親としてしてあげられることとしては、息子さんが失敗した際に次に選べる選択肢を用意しておくことです。
      息子さんが選んだチームでうまくいかず、チームを離れたい時に離れられるのかどうか、次に移籍できるチームはあるのかどうか。
      地域によっては移籍が制限されているチームもあるようです。
      また、チームを辞めたくてもなかなか辞めさせてもらえないこともあるようです。
      そういった条件がどうなっているのかを事前に調べる必要があります。
      調べ方の1つの方法としては、ご両親がいいなと思われてるチームの方に
      「両親としてはこちらのチームに入ってほしいが、息子が地元のチームを希望しているので、まずは地元のチームに入ってみます。ただ、続けられるか心配なので、もし地元のチームを辞めた時にこちらのチームで受け入れていただくことは可能ですか?」
      と相談してみてはいかがでしょうか。
      地元チームでうまく行かなかった場合の次の選択肢を探しておいてください。

      息子さんには
      「あなたの考えを大切にして、まずは地元のチームに入ってみましょう。もしうまくいかなかったら、また一緒に考えよう。」
      と伝えてあげるといいと思います。
      息子さんのチャレンジをご両親が応援してサポートしていることを伝えてあげてください。

      文面に書かれていること以外にも様々な条件があるはずで、無責任なアドバイスとなってしまい大変恐縮ですが、息子さんが野球を通して色々なことにチャレンジし、成長していく環境で活躍されることを願っています。

      NPO法人北摂ベースボールアカデミー 植松剛史

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