初心者の子がボールを遠くに投げられるようになるコツ【科学的に実証】
子供に何を教えたらいいの?
子供が野球を始めたのはいいけれど、なかなかうまく投げられなくて困っていませんか?
思うように投げられていないのだけど、どうやって教えてあげたらいいか分からない。
色んな練習方法はあるけど、どれをやったらいいか分からないとお困りではありませんか。
はじめまして。NPO法人北摂ベースボールアカデミーの植松と申します。
大阪の北摂エリアにある初心者向けの野球教室で毎週子供たちに野球を教えるコーチをやっています。5年間で300人以上の初心者の子供たちに教えてきました。
今回は初心者に教える時にオススメの練習方法を1つご紹介します。
論文で効果が実証された方法です。
私も実際に初心者の子供たちに教えてよかったと感じている方法なのでぜひお試しください!
【結論】地面に向かって思い切り投げる「真下投げ」がオススメ
帝京平成大学の伊藤博一(いとうひろかず)教授が推奨している「真下投げ」という練習です。
使う道具はいつも投げているボール1つでできます。
やることも地面に向かって思い切り投げるだけです。
「真下投げ」の効果を検証する論文の中で紹介されている練習動画を見ていただいたらすぐにどんな運動か分かると思います。
※開いたページで再生ボタンを押すと約4秒間の動画が見られます。
(出典:本嶋佐恵,藤田英二. 女子軟式野球選手の投動作における真下投げの即時的効果. スポーツパフォーマンス研究,6,1-10, 2014)
この「真下投げ」をするだけで、初心者の投げ方がとても良くなります。
「真下投げ」をすると正しい体の使い方ができる!
なぜ「真下投げ」をするだけで投げ方が良くなるのでしょうか?
それは、正しい順序で体を回転させることができるようになるからです。
初心者がボールを投げるときの特徴として、腰の回転と肩の回転がほぼ同時か腰のほうが遅れて回るという特徴があります。
それが「真下投げ」をすることで、特に何も意識しなくても自然と腰の回転が先に、肩の回転が後になって正しい体の使い方ができるようになるのです。
「真下投げ」の効果を検証した論文の紹介
上の動画の出典でもある
『女子軟式野球選手の投動作における真下投げの即時的効果』
について調べた鹿屋体育大学の本嶋氏らによる研究では、真下投げの効果として次の3つのことが明らかになっています。
- 腰と肩の回転する角度が大きくなる。
- 腰と肩の回転する速度が大きくなり、腰の回転速度のピークが先に来てから肩の回転速度のピークが来るようになる。
- 投げたボールの速さが速くなる。
これらの効果が5分間の「真下投げ」の練習を行った直後の測定で認められたので、練習をしてすぐに効果が出ることも分かっています。
注意点
私も実際に自分が教えている野球教室でやってみました。
やり方も簡単で、子供たちも「もっと高くはずませよう!」と楽しく一生懸命に遊べる運動なのでとても良い練習方法だと感じました。
1点だけ、気をつけたほうがいいのが、投げる場所の指示の仕方です。
初心者の子供たちに「真下に投げるよ」というと、自分の体の真下に投げてボールが自分の体や顔に跳ね返ってくる場合がありました。
「真下投げ」の真下は腕を振ったときの手の位置の真下なので、子供たちの感覚からすると自分の前の地面に投げる感覚のほうが分かりやすいです。
「自分の前の地面に思い切りボールを叩きつけよう!」といった指示の仕方がいいと思います。
投げる時に踏み出すことを忘れる子も多いので「一歩踏み出す」ことも伝えましょう。
教える時に言葉で説明するだけでなく、実際にやって見せてあげると子供にとって分かりやすいです。
投げたボールが跳ね返って顔に当たらないように気をつけて教えてあげてください。
5分間「真下投げ」をしよう!
真下に投げるだけですぐに効果が出るとは驚きですね。
「もうちょっと遠くに投げられるようになってほしいな」と思ったら5分間「真下投げ」の練習をしてみてください。
5分間というのは実験で高校生の女子選手を対象に行なった時の時間なので、子供の成長度合いに合わせて時間は調整してよいと思います。
ぜひ一度お試しください!